C22. 子どものいじめの構造を理解しよう!

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花賀 咲象

花賀 咲象

 学習塾指導歴は学生アルバイトの時も含めて通算31年で、現在では教室管理とカウンセリング業務を主に行っております。家では心理カウンセラーとnoteや本の執筆活動を行っているところです。
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【子育て編】

 教育・心理カウンセラーで自己啓発作家の花賀作象です。前回【子育て編】第21回の内容は「子どものやる気に火をつけよう!」で、親としてどのようなことをしていけば子どもが勉強に対してやる気になってくれるかについて述べていきました。

 今回は「子どものいじめの構造を理解しよう!」になります。いじめの問題は年々深刻さを増しています。文部科学省が調査した全国のいじめ認知件数で2014年では188,072人だったのが2024年には769,022人で、実に4倍以上に増えているのです。たった10年で4倍というのは他には見られない急激な変化です。

 確かにこの10年の間で子どもたちの生活スタイルを見ても急激に変化しています。習い事の増加による子どもの自由な時間の減少、スマホの所持率に関しては小学校高学年だけを見ても2024年の時点で半数を超えています。

 そんな急激な変化の中で子どもたちは大人が持つようなストレスを抱えるようになり、他人とうまくコミュニケーションが取れない子どもが増加し、それがいじめに繋がっているところがあります。

 ここからは子どものいじめはどういう構造から起こり、どのようにすればいじめの減少に繋げていくことができるかについて述べていきますよ!!

いじめの定義

 あなたはいじめが法的にどのように定義されているかをご存じですか?これは2013年に施行されたいじめ防止対策推進法第2条に基づきます。この法律では、いじめを次のように定義しています。「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等、一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」になります。

 判断基準としては、被害者の主観が重視されます。すなわち加害者が「遊びだった」「ふざけていた」と考えていても、被害者が苦痛を感じていればいじめに該当するということです。また学校内外、オンライン上(SNSやLINEなど)の行為も含まれ、行為の種類としては身体的暴力、悪口、無視、仲間はずれ、金品の強要など、心理的・物理的影響を与える行為全般が対象になります。

いじめの内容

 文部科学省によると、いじめの認知件数で最も多い学年は小学2年生で、ここからは学年が上がるにつれて減少していっています。ただ、私たちが子どもの頃では考えられないような陰湿ないじめが小学校低学年から見られるようにもなってきています。

 ではいじめの態様別状況(内容)について見てみると、次のようになります。

  • 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。
  • 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。
  • 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。
  • パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる。
  • ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。
  • 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。
  • 金品をたかられる。

 小・中学校及び特別支援学校において最も多いのが、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」で、続いて「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」が多くなっています。

 高校においては、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多く、続いて「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」が多くなっています。

いじめの構造

 いじめは四層構造から成り立っていると言われています。これは、加害者・被害者・観衆・傍観者の四者を指します。ここで観衆と傍観者の違いは何なのか分かりますか?

 観衆は加害者の行為を面白がったり、はやし立てたりする立場にある人のことを言います。直接手を下さなくても、加害者を肯定することでいじめを助長していることになります。

 傍観者はいじめを見て見ぬふりをする大多数のことを指します。傍観者が多くなれば多くなるほど加害者の行為を助長し、被害者を孤立させることに繋がります。

 このようにいじめの構造というのは、単純に加害者と被害者だけの関係だけでなく、観衆と傍観者も含めて成り立っているのです。

それぞれの心理状態

 では、ここから四者の心理状態を見ていきたいと思います。

 加害者は被害者に対し支配欲を持っている場合がほとんどです。すなわち被害者を自分の思い通りに動かしたいのです。これは単に命令や暴力だけでなく、評価やお金、期待や罪悪感を通じて間接的に相手を支配する形も含まれます。

 被害者は加害者に対して嫌悪感を持っている場合が多いです。すなわち加害者とは基本的に関わりたくないと思っているのです。加害者は被害者の自分に対して嫌悪感を抱いているのが気に入らないという理由で被害者を攻撃するわけです。

 観衆は加害者と仲がいい場合がほとんどです。加害者が面白がって行う行為を同様に面白がるわけです。

 傍観者は加害者の行為が怖くて近寄れなかったり、被害者の味方をすると今度は自分がいじめられるのではないかという恐れを抱いていることが多いです。だから変に動こうとはせずにただ見ているだけで済ませてしまうのです。

加害者だけを責めない

 学校の先生など、その場にいる子どもたちを監督する立場にある人は、こういういじめを発見・確認をしたとき、加害者を悪者にして加害者を一方的に責める傾向があります。これでは加害者の子どもに不満を募らせ、さらに陰湿ないじめに発展する可能性すら出てきます。たしかにいじめの加害行為は許しがたい行為にはなりますが、この事実だけに注目するのではなく、我々大人はいじめの再発防止のための最善策を考えていかなければなりません。そのためにも加害者・被害者双方の本音を引き出してお互いが分かりあえるような架け橋の役割を担っていく必要があるのです。

加害者の本音

 前述のところで加害者は被害者に対して支配欲を持っていることがほとんどだと申し上げました。この支配欲は悪く言えば「相手を自分の思い通りに動かしたい」になりますが、このように思う心の奥底には「本当は仲良くなりたい」という本音を持っているものです。

 相手が自分の話をきちんと聞いてくれなかったり、相手から嫌なことを言われたり、偉そうな態度をとられたり、ちょっと調子に乗っているところが気に入らないなど、そういった感情から相手に対して腹を立てることなんてよくあることです。そういったことがきっかけになっていじめに発展することがよくあります。

 ところで、加害者は被害者に対してなぜこのような腹を立てるような感情を持つのだと思いますか?これを簡単に申し上げますと、加害者の何らかの働きかけに対し、被害者は加害者が望むような反応を返さないからです。裏を返せば、ここに加害者の望みが存在します。前述の例であれば、「自分の話をきちんと聞いてほしい」、「嫌なことを言ってほしくない」、「偉そうな態度をとってほしくない」、「あまり調子に乗らないでほしい」という望みです。どうしてこのような望みを持つかと言いますと、相手と仲良くなりたいからではないでしょうか?

被害者の本音

 次に被害者の本音を見ていこうと思います。前述したように被害者は加害者に対してかなりの嫌悪感を持っています。具体的には「どうしてこんな目に遭わせるんだ!」、「こちらの気持ちを全く考えずによくこんなひどいことができるな!」、「あの子とはもう関わり合いになりたくない!」と思っているわけです。

 では被害者はなぜこのような嫌悪感を持つのでしょうか?実はこれも加害者のことが嫌だと思いつつも心の奥底では「本当は仲良くなりたい」と思っているからです。

 前述の例で申し上げますと、「こんな目に遭わせないでほしい」、「こちらの気持ちをもっと考えてほしい」という本音を持っていて、本当はきちんと仲良くなって積極的に関わっていきたいと思っているのです。

客観的な立場で考えさせてみる

 これは学校の先生が行った事例になりますが、あるクラスで男の子が転校してきたばかりのおとなしい子に対していじめるようになり、それをやめさせるために担任の先生は被害者と加害者の双方を呼び出して、いじめの現場に立たせました。そして加害者・被害者ともに現場を客観視できる位置に座らせ、2人を第三者として客観視させるようにしたのです。 そしてそれぞれ相手の中に入り込ませ、それぞれにどんな気持ちかを聞いたのです。

 すると、加害者のほうは自分を指さして「それは悪いことだ」と言ったそうです。一方で被害者のほうは「(自分が)反応しないからイライラしたのだと思う」と加害者の気持ちを理解したのです。そして双方にどうしたいかを聞くと2人とも「仲良くしたい」と言い、そのときから2人はすぐに仲良しになったそうです(堀井恵著「先生と生徒の心をつなぐNLP理論」参照)。

 こうした取り組みはいじめが何カ月にわたって続いていたとしても一瞬で解決に向かわせることも可能になります。これはご家庭の兄弟(姉妹)喧嘩にも使えることになりますから、家庭内でいじめが続いているようであればこれをぜひやってみてください。

 

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 以上になります。今回は子どものいじめはどういう構造から起こり、どのようにすればいじめの減少に繋げていくことができるかについて述べていきました。

 前述したようにいじめはまずは加害者・被害者・観衆・傍観者の四層構造になっていることを理解するところから始まります。いじめの問題を解決の方向に向かわせるなら、加害者・被害者の2者に的を絞り、それぞれの本音を聞き出すことを最優先課題として取り組んでいくことが大事になります。

 そのために加害者・被害者をいじめの実際の現場に連れていき、双方とも客観的な立場で見るようにし、それぞれ相手の中に入り込むことで相手の本当の気持ちが理解できるようになってきます。そうなると「本当は仲良くなりたい」という心の奥底にある本音が出てくるので、ここまでできたらいじめ問題は一気に解決に向かわせることができるのです。

 しかしいじめのパターンもいろいろあるので、すべてがこのやり方ですぐに解決できるとは限りません。ただ、「加害者・被害者双方の本音を引き出すこと」に全力を注いで取り組んでいれば必ず解決の糸口は見えていきます。いじめの問題は不登校の問題と密接に関わっていることもあってかなり深刻な問題になりますが、加害者・被害者共に本音を引き出すことができれば解決に向かわせることはできるはずです。

 ですから「必ず解決できる」という希望を常に持っていじめの問題に取り組むようにしてください。ではまた次回でお会いしましょう!!

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