教育・心理カウンセラーの花賀作象です。前回は、損害が生じているときに抱いてしまう「もったいない思想」をいかにして克服し、上手に損切りをしていくかについて述べていきました。
今回のテーマは「自分の境界線を引こう!」になります。誰でも就業時間が近づいているときに別の仕事を頼まれて残業を余儀なくされたり、休日の日に急に出勤を要請されて仕方なく休日出勤をしたような経験があるのではないでしょうか?これを無制限に許容していたら、あなたのプライベートな時間はどんどんなくなり、その時間を会社(職場)のために捧げることになります。ここであなた自身が「これ以上は許容できない」という自分の境界線を設け、それを自分の中できちんと線引きしておくと、そこから先は自分のための時間として使うことができるようになってきます。では、今からどのようにすれば上手に自分の境界線を引いていくことができるかについて述べていきますよ!!
目次
誰でも楽をしたい
自分がたくさん仕事を抱えていると、「誰か手伝ってくれないかなあ」と単純に思いますよね。もし、あなたが集中して業務に取り組んだ結果、予定よりも仕事を早く終わらせることができ、手が空いたとします。すると、それを狙っていたかのように「ちょっと手が空いているのならこれを手伝ってほしいんだけど…」と言ってくる上司や同僚が必ずと言っていいほどいます。こういうとき、あなたはどういう対応を取りますか?大半の方は、数多く業務を抱えているのをかわいそうに思ってその仕事を引き受けるかと思います。しかし、それを1度許してしまうと、同じ人が後日また同じようなことを頼んできます。そうやっているうちにそれが当たり前になり、あなたは他人の業務の尻ぬぐいや業務軽減のために、自分自身の時間が毎日のように奪われ続けていくことになるのです。
仕事を引き受けないことがその人の成長を促す
こういう形で自分が抱えきれない業務を頼んでくる人というのは、たいてい段取りが悪いのが普通です。1日の計画を立てずに業務を始め、優先順位をつけずに仕事をしているので効率が悪く、思うように仕事が進まないことから常に仕事を多く抱え込んでいる状態になっているのです。もし、あなたに業務を頼んでくる人がこのように段取りが悪い人であれば、あなたは基本的にその業務を引き受ける必要はありません。あなたがそれをすることで、その人は仕事ができないままの人になります。すなわちその人の成長を阻害していることになるのです。その人が本当に成長していくことを考えるなら、その仕事は引き受けずに、その人に戻してあげるのがベストなのです。
線引きをして自分の境界内に誰にも立ち入りさせない
前述のようにあなたが自分自身の時間を確保するために業務に集中して早く片付けた場合、この大切な時間を他人に奪われていいものなのかを真剣に考えてください。また、上司や同僚は、本来自分自身でやるべき業務をあなたにさせようとしています。これが本当に上司や同僚のためになるのかも真剣に考えてください。
結論から申しあげれば、これはバッサリ切り落としていいものになります。あなたには、自分の休憩時間や休日のための時間を確保する権利があります。ですからここで変に「いい人になる」必要はありません。「引き受けない方が本人のためになる」と割り切り、「大変申し訳ございません。私は○○をするための時間を確保するためにかなり集中して業務を終わらせたので、今からは○○をさせていただこうと思います」とはっきり言って断りましょう。そこまで言われたら相手の人はたいてい「仕方がないな」と思って引き下がります。その人の性格にもよりますが、それについて根に持つ人もほとんどいません。断られた方は案外あっさりしているものなのです。「あなたがダメなら他の人を当たればいい」という感覚しか持ちません。ですから自分のために確保した時間は誰にも譲らないという線引きをして、この境界線に誰にも立ち入りさせないようにすることは、あなた自身の貴重な時間を確保するためにもいかに大切であるかがここでも分かりますよね。
休日出勤の要請を受けた場合にも境界線を引いておく
職場の誰かが急病で倒れて休日に出勤してほしいという依頼を受けることもあるかと思います。そんなとき、上司から自分に連絡がかかってきたら、上記の事情だと断りにくいので、あまり気が進まなくて引き受けることが多いように思われます。
ここで考えていただきたいことがあります。その日が休みの人は何人かいるかと思いますが、上司はどういう順番で休日出勤要請の連絡をしてくると思いますか?それは「頼みやすい順」になります。全部が全部そうとは言いません。中には部下のことをきちんと考えて公平に割り振る上司もいるかと思います。ただ、たいていの場合、そういうことは「言いやすい人」から順に連絡してくるのが普通です。ですからもしあなたにそういう連絡がよく来るのだとしたら、それは間違いなくあなた自身が「頼みやすい人」になっています。それにより、あなたは自分自身の時間が奪われていることになるのです。
ここにあなた自身で境界線をはっきり引いておく必要があります。「休日に家族と大切な時間を過ごす場合は絶対に休日出勤要請に応じない」という具合です。ただ、子どもの学校行事などがある場合は比較的断りやすいですが、単純にどこかの公園で遊ぶ約束をしていたというような場合だと断りにくくなりますよね。かといって、休日出勤の要請をすべて断っていたら、あなた自身が急病で出社できなくなった場合に誰もあなたのために出社したがらなくなることにもなりかねませんから、ここにも明確な線引きをすればいいかと思います。子どもを公園に連れていくことも、もし毎週のように行っているのと久々に行くのとではその重要度が変わってきます。後者において子どもが久々にいくのを楽しみにしているような場合であればそちらを優先すべきでしょう。これが前者なら子どもに謝って休日出勤要請に応じることも必要かと思います。このようにどこまでなら要請に応じことができるかの境界線を作り、その線引きをきちんとしておくと、あなた自身も気持ち的に楽になりますし、上司や同僚もその境界線の中にまで踏み込んでこなくなります。ですから日頃から自分の中で境界線をきちんと引いておくようにしておきましょう。
以上になります。今回は自分の中で境界線を作って、自分の時間や休日を、自分の正当な権利としてきちんと確保するためには、どのようなことをしていけばいいかについて述べていきました。前述のようにあなたは「いい人になる」必要はありませんし、上司や同僚の尻ぬぐいをする必要もありません。境界線を作って線引きをすると、その線を越えてきた場合には当然断りを入れなければなりませんが、断る勇気がいるのは最初のうちだけです。一度自分が引いた境界線に基づく判断で断ってしまうと、その境界線の存在に相手も気づくようになります。ですから、相手も次回からあなたの境界線の内部には立ち入らないようになるのです。そうなると、あなた自身も気分的にかなり楽になりますし、相手も自分自身で何とか自分の業務を進めるようになってきます。それは結局「双方のため」になるのです。ですからあなたは自分の内部に境界線をはっきりと引き、その線を超えるときは「堂々と」断るようにしてください。そうやって自分の業務を気持ちよく進めていくようにしてください。それがあなた自身の成長へと繋がりますよ。では、また次回お会いしましょう!!