◇196. クレームを引き起こした人物に謝罪しよう!

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花賀 咲象

花賀 咲象

 学習塾指導歴は学生アルバイトの時も含めて通算31年で、授業もこなしながら、カウンセリング・コーチング業務も行っております。さらに最近では本を出版するための執筆活動も行っているところです。
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 教育・心理カウンセラーで自己啓発作家の花賀作象です。前回は1日が終わったときに「今日も疲れたなあ」ではなく「今日もいい1日だった」と言えるようになるためにはどうしたらいいかについて述べていきました。

 今回は「クレームを引き起こした人物に謝罪しよう!」になります。これを聞くと、「え!?何で??」と思われる方もおられるかと思います。確かにクレームを引き起こした人に責任は大なり小なりあります。ただ、ここで考えていただきたいのが「そのクレームはそれを引き起こした人だけの責任なのか?」ということです。すると、そうだとは言い難いところもありますよね。だからといって、すべてのクレームに対してクレームを引き起こした人物に謝罪しなければならないというわけでもありません。ここからは実際に起こったクレームの事例を見ながらどういう場合にクレームを引き起こした人物に謝罪すべきかについて述べていきますよ!!

実際起こったクレームの事例

 これはある個別指導塾で実際にあったことです。個別指導は指導者1人に対して2人の生徒を見ていく1:2の形式をとっているところが多いですが、その2人の生徒は小1~高3という非常に幅広い学年になります。2人が同じ学年とは限りません。成績がいい子もいればよくない子もいます。そうすると、その子に課す問題が非常に重要になってきて、これを間違えるととんでもないことになります。たとえば成績が良くない子に応用問題を出そうものなら、当然その問題を解くことができないので、基礎に戻ってから説明をしてその上で応用問題まで説明しなければならなくなります。そうなると、その説明をするのにかなりの時間を要します。すると、もう片方の子がほったらかしの状態になり、それが原因でクレームになるのです。 

 こういうクレームが発生したとき、教室責任者は当然その指導者を注意します。しかし、ここで考えていただきたいのが「そのクレームはその指導者だけの責任なのか?」ということです。確かに基礎ができない子に応用問題を出してしまったという責任があるのかもしれません。しかし、応用問題が宿題として出ていた場合はどうでしょうか?しかもその宿題を出したのがその指導者本人ではなく別の人だった場合を考えてみてください。この指導者に責任はあるでしょうか?その子を担当する指導者としては宿題として出されている以上、解説しないわけにいかなくなるのです。そうした過程で発生したクレームなら、その指導者としては「なぜ自分だけが注意されるのか?」という反発心しか起こらなくなります。

上司や管理者はクレーム発生の原因を冷静に見ることが大事

 「今日見てもらった先生はもう片方の子ばかり見てこちらをほとんど見てくれなかった」というクレームが来たとき、確かにその電話を受けた上司や管理者はその対応に追われて大変になります。その保護者に謝罪して授業そのものを無料で提供しなければならない事態も発生します。それによってクレームを発生させた指導者に対し「こんな面倒な対応をさせやがって…」と怒りの気持ちになるのが分からないまでもありません。ただ、上司や管理者の立場であるのなら、ここは「どうしてこのような事態になったのか?」を冷静に考えるべきです。前述の例でいうなら、前の授業の記録を見ると前任者が応用問題を宿題に出していたという事実を容易に見つけられたはずです。すると、クレームを引き起こした指導者がこれを何とか乗り切るために応用問題を解説し終えてもう一方の子にも対応できるようにしようと必死になっていた様子が思い浮かぶはずです。そうなると、怒りの感情どころかその指導者に対して申し訳なかったという感情が生じますよね。そうなんです。こういう場合は、上司や管理者はクレームを引き起こした人物に注意するどころか謝罪すべきなのです。そもそもこの事実を上司や管理者が先週の時点で見つけられていたならば、その子の家に連絡して宿題を応用問題から基本問題に変更することができたはずです。それができていたらその指導者に余計な負担をかけることもありませんでしたし、このクレームも防げたはずです。このように上司や管理者にはクレーム発生時にいかにその原因を冷静に見ることができるかが問われてくるのです。

上司や管理者は「クレームは自分の責任」だと考えることが大事

 前述の事例で、クレームを引き起こした本人にほとんど責任がないのに、クレームを引き起こした人物だけを注意する上司や管理者やあらゆる職場に存在します。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?それはそもそも「クレームを起こした人物に問題がある」とか「クレームを起こした人物が責任を取るべき」と考えているからです。そうではなく、上司や管理者は「クレームが発生するのは自分の監督の不行き届きが原因」だと考えることが大事です。部下やスタッフがいい加減に仕事をして起こったクレームならともかく、部下やスタッフが一生懸命仕事をして起こったクレームであればそれは間違いなく上司や管理者の責任になります。というのは、そういう責任が持てる上司や管理者こそ部下やスタッフはその人についていこうという気持ちになれるからです。それは責任を全てこちらに押し付けて注意ばかりしてくる上司と自分の監督不行き届きの不手際をきちんと認めて謝罪できる上司とではどちらを尊敬できるかということを考えると一目瞭然になりますよね。

自分の非を認める上司や管理者こそが尊敬される

 上司や管理者などの立場に立った人は、結構プライドが高くなることもあるのか、何か問題が起こったときに部下やスタッフに謝罪するということができない人が多いですよね。これは間違いなく上下関係を誤った観点でとらえています。すなわち「上司は模範となる人物」というのを意識しすぎて「間違ったことはしていない」という思想になり、「間違ったことはしていないのだから謝罪する必要はない」という考え方に結びついているのです。

 2003年に当時プロ野球セ・リーグの阪神タイガースの監督になっていた星野仙一さんは阪神タイガースを見事優勝に導きました。2002年に阪神の監督になったときはとにかくミスをした選手に責任追及するなど、よく選手に雷を落としていたそうです。そのため、この年はセ・リーグ4位というイマイチな結果に終わりました。それが次の年の2003年4月11日の東京ドームでの巨人戦から状況が一変します。9回の時点で6-1とリードしながらも巨人の猛反撃にあって追いつかれ、最終的に8-8の引き分けに終わりました。この試合の後、いつもなら星野監督の雷が落ちるので、選手の誰もがそれを覚悟していました。ところが星野監督は雷を落とすどころか「俺のミスだ」といって選手たちの前で自分の采配ミスを認め、選手全員に謝罪をしたのです。そしてここから阪神の快進撃が始まります。連勝に連勝を重ね、星野監督率いる阪神が見事に18年ぶりのセ・リーグでの優勝を飾ったのです。

 これは、この星野監督の自分に責任があることを認める「謝罪」という行為によって、誰もが一体となって星野監督についていこうという気持ちになったことが原因であると考えられています。こういうことからも問題発生時に部下やスタッフばかりに注意や叱責をする上司や管理者よりも自分の監督不行き届きという非を認めて謝罪できる上司や管理者のほうが尊敬されるということが分かりますよね。

 以上になります。今回はクレームを引き起こした人物が、それが一生懸命仕事をしていていて起こしたクレームであれば、上司や管理者は自分の監督不行き届きの非を認めてその人物に謝罪することの大切さについて述べていきました。

 誰だってクレームを起こしたいとは思いません。前述の例のように自分の知らないところで起こったことを自分が引き受けてその結果クレームになってしまうようなこともあるわけです。それをそのクレームを引き起こした人だけの責任にされたのではその人はたまったものではないですよね。

 やはり上司や管理者になっている人が「部下やスタッフの間で起こる問題はすべて自分の責任」であることを自覚し、問題が起こらないようにチェックをしていくなど、その日その日の状況把握に努めていく必要があります。そして、問題が発生したら自分の監督不行き届きという非を認めてその問題に巻き込まれた人全員に謝罪する姿勢が部下やスタッフの「尊敬」という形になって返ってきます。今回述べた内容はどこの職場でも起こっていることであり、上司や管理者が自分の非を認めて謝罪できるようになれば、その職場に一体感が生まれますよ。そういう一体感のある職場はやっぱりいいですよね。では次回またお会いしましょう!!

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