教育・心理カウンセラーの花賀作象です。前回は相手が自分の指示したことをしてくれていない場合に相手のどのようなところに注目すると相手との関係性を壊さないようにできるかについて述べていきました。
今回は「不備を提案に変えよう!」になります。自分がした仕事に不備があることが発覚すると自分も嫌になりますし、その仕事を頼んだ上司も嫌な思いをしますよね。このとき、たいていの場合はその不備を出してしまったことを謝罪し、不備の部分をすぐ修正するかと思います。ただ、それだけで終わっていませんか?ここからは仕事で不備を出してしまったときにどのようにすればそれを活かして逆に不備が出ないようないい提案ができるかについて述べていきますよ!!
ミスの原因
完成させたもので自分の不備が発覚したとき、この時ばかりはかなり嫌な思いをしますよね。それを厳しい口調で指摘してくる上司もいれば優しく指摘してくれる上司もいますが、どちらにしても自分のミスには変わりがないのであまりいい気分にはなれません。だから迅速な修正が求められて修正するわけですが、これは自分のマイナスが0になるだけの話なので、その気持ち悪さは依然として残っていますよね。さて、こういうときはどのようにしたらいいのでしょうか?
まず考えていただきたいのは、「何が原因でそのミスが引き起こされたのか?」になります。もし、上司が指示内容をメールだけであなたに伝えていた場合、そのメール内容がきちんと頭に入っていなくてそのミスがあなたによって引き起こされたものだとします。すると、上司が指示内容をメールだけで伝達することを続けていると、あなた以外の人が同じミスをする可能性が出ていきますよね。また、あなた自身もまた同じミスをしてしまう可能性も十分に出てきます。そうすると、単純に「このままではいけない」と思いますよね。
不備を出さない提案をする
そこで、あなたが上司にしてほしいことを提案するのです。たとえば「指示内容がメールだけだと重要な内容を見落としてしまう可能性があるので、改めて特に重要な部分は口頭で伝えてほしいです」という感じで言うのです。すると、快くこれを受け入れてくれる上司もいれば、「そんなの自分がこっちに聞いて来いよ。こっちは忙しいんだから」と言ってくる上司もいるかと思います。ここで重要なのは上司がこれを受け入れてくれるかどうかではありません。あなたが上司に「提案した」ということです。この提案をどう評価するのかは上司にもよりますが、あなたが上司に「提案した」という事実は今後のあなたの仕事に対する姿勢を大きく変えていくことになるのです。
提案することは行動を積極的にする
ここで、職場で上司に提案する人とそうでない人とを比べてみると、提案しない人はもっぱら仕事が受け身です。言われたことをただこなすだけです。主体的な仕事をしていないので、仕事も面白くありません。
一方、職場で提案をする人というのは仕事が積極的です。自分がいいと思ったこと、改善した方がいいと思うことは上司や周りのスタッフに提案していくので、自分から行動することができ、表情も非常に生き生きとしているのです。職場で提案ができるか否かというのはここまでの差を生んでしまうことになるのです。
多くの人の利益を考えた提案は通りやすい
894年に菅原道真は遣唐使を停止しましたが、その理由はご存じですか?表向きは「唐は戦乱の時代に入り、国力が衰えた唐に危険を冒してまで使節を送る必要性がない」とのことでしたが、本当は「自分が行きたくない」というのが理由だったのです。菅原道真は非常に賢い人物でしたから、「自分が行きたくない」などという自分勝手な理由は言いません。そうではなく、戦乱の中に使節を送るということはわが国の多くの優秀な人材を失うことになることを強調したのです。こういう提案の仕方は非常に優れていますよね。このように「自分がやりたくないから」という理由の提案は通りませんが、多くの人の利益を考えた提案は通りやすくなるのです。ですからあなたも提案するときはこういう提案の仕方をしていくといいですね。
上司の仕事の依頼を別の形で提案する
やることがあまりにも多すぎてそのために十分なチェックができずに不備が発生した場合、あなたはどこに原因があると見ますか?この理由は単に「業務を抱えすぎている」ことが問題ですよね。だったら業務を必要以上に引き受けなければいいだけの話ということになりますが、上司から仕事を頼まれてそれを引き受けずに断ることができる人というのはいったいどれだけいるのでしょうか?なかなかいないのが現状ではないでしょうか?それえだけ上司の依頼を断るというのは簡単ではないということですよね。ただ、確かに上司の依頼を「断る」ということには抵抗があるかもしれませんが、上司の依頼を別の形で「提案する」ことだとできるのではないでしょうか?
これ以上業務を抱えると確実にパンクしてしまうというときに上司が仕事を依頼してきた場合、あなたは次のように言ってみるとよいです。「大変申し訳ございません。引き受けたいのは山々なのですが、私も現在これだけ業務を抱えていてパンク状態になりかけています。それを本日中というのは難しいですが、明日でもよいというのならできそうです。これならいかがでしょうか?」という感じです。これを聞いて悪い感じがする人はいませんよね。ですからあなたも上司の依頼を断る言葉は言いにくくても、こういった提案なら言いやすくなってくるかと思います。ですから、上司の仕事の依頼を断りにくいというのであれば、ぜひこのような感じで別の形で提案するようにしてください。
以上になります。今回は仕事上で出てきた不備をただ謝罪して修正するだけだと自分の中で虚しさしか残りませんが、これをどのようにすれば不備を提案に変えて仕事にやりがいを持たせていけるかについて述べていきました。
不備を出してしまうのは、あなただけではありません。大事なのは、今後自分だけでなく、誰もが不備を出さないような体制を作っていくということです。そのための提案というのは非常に貴重なものになります。提案も前述したように自分さえよければいいという自分勝手な考え方でなされると通ることはありませんが、他の人の利益もきちんと考えたものであれば通りやすくなります。
また、上司から受けた依頼を引き受けるのが厳しい状態である場合に断ることができないというのであれば、そのまま受けるのではなく、上司に別の形で提案していくようにすると、あなたの仕事もうまく回せるようになり、あなたの評価も上がってくるようになってきます。ですから今回述べた内容をしっかり実践して、ぜひ自分の不備は提案に変えていくようにしてください。ではまた次回お会いしましょう!!