教育・心理カウンセラーの花賀作象です。前回は自分という人間を高く評価されるようにするためにはどのような資料を作成していけばいいかについて述べていきました。
今回は「相手がやってくれていることに注目しよう!」になります。職場で自分が指示した相手がそれをきちんとしていなかった場合、思わずカッとなってしまうことはありませんか?もしここで相手に怒鳴りつけるようなことをしようものなら、相手との関係性は悪化し、その人が辞めてしまうような事態に発展することもありますよね。このようなことになる前にどのように相手のしていることに注目して関係性を壊さないようにできるかについて述べていきますよ!!
「何で?」「なぜ?」は相手を責める言葉
きちんとこれをするように伝えていたのにやっていない…職場ではありがちなことになりますよね。こんなとき言ってしまいがちなのが「何でやっていないのですか?」です。この「何で?」は普通に理由を聞いているような感じがしますが、実は違います。何かやっていないときに聞く「何で?」とか「なぜ?」は完全に相手を責める言葉です。理由を聞いているようで「これをやっていないとは何事だ!」とか「きちんとやるように伝えていたのに何を考えているの!」と一方的に責任追及しているのです。
このような言い方をすると、相手は委縮します。理由をうまく答えられなかったり、黙り込んだりします。すると、その態度にまた腹を立ててさらに責めてしまうのです。こうなるともう相手はあなたの言うことをまともに聞きたいとは思わなくなってしまうのです。
きちんと伝わっていたのか確認する
こういうときは、自分の指示がきちんと伝わっていたのか相手にきちんと確認することが大事です。「~のときに…するように伝えていたと思うんだけど、これは伝わっていたのかな?」という感じです。このように聞くと、「すみません、忘れていました」とか、「え!?それは今日やることだったのですか?」という感じでそれをしていない理由を正直に言ってくれます。前者の理由は本人の責任になりますが、後者は完全に指示した側の責任です。というのは本日しなければいけないことが本人にきちんと伝わっていなかったということになるからです。これを言うと後者のほうでも「こちらはきちんと伝えているんだからそれを勘違いする本人が悪い!」とか「そもそも本人がきちんと人の話を聞いていないこと自体が問題」だと反論する人が出てきます。これは果たしてそうなのでしょうか?
ここで考えなければならないのは「伝える」と「伝わる」は違うということです。リーダーの役割というのは、「部下に仕事内容を伝達すること」ではありません。「部下にきちんと仕事をやってもらう」ことが真の役割です。ですから「指示だけ出しておけばあとは部下の責任」と考えること自体が間違っているのです。確かにその部下に忘れっぽいところがあるなど、本人の問題と捉えられることもあるかと思います。しかし、そういった場合でもリーダーは随時確認を入れるなど、その部下に忘れさせない工夫を施すべきなのです。そういうことを一切せずに「1回指示を出せば自分の役割を果たした」と考えるような人はリーダー失格です。指示を出すだけなんて誰でもできます。指示したことをきちんとさせるのがリーダーの役割であり責任でもあるのです。ですからリーダーは自分の指示がきちんと伝わったかどうかの確認をするというのは極めて大事なことになるということです。
やってくれたことに感謝する
自分の指示したことを相手がやっていないと、その1点だけに集中して責めがちになります。ここで冷静になって相手を見てみると、それ以外の業務は完璧なくらいきちんとやっていることが大半です。頭に血が上って叱りつける人はここに注目することはありません。これを子どもが受けたテストに例えるなら、点数は90点なのにこれに関するコメントは何もなくて間違えた10点だけに注目して「こんなミスをするなんて何を考えているの!」と𠮟りつけるようなものです。これだと子どもはたまったものではないですよね。
ですから自分が指示した以外の他の業務が完璧ならまずはそこに注目して「いつもここまできちんとやっていただいてありがとうございます」という感謝の意をまず伝えるべきです。その上で「本日~するようにお伝えしていたと思うのですが、その進捗状況はどうですか?」と優しく聞けばいいのです。こうすることで相手もその理由をきちんと答えてくれます。これだと自分も相手も嫌な気持ちになることはないですよね。
やってくれていることを当たり前にしない
ルーティン業務が特にそうですが、毎日やってくれているとそれが当たり前になり、だんだん感謝の気持ちがなくなっていきます。そうなると、たまにそれをやり忘れたときに「何でやっていないんだ!」と怒りモードになってしまうのです。これでは仕事のやりがいもなくなってきますよね。リーダーは部下や他のスタッフがやってくれたルーティン業務でも毎日心から感謝し、その感謝の意を毎日相手に伝えるべきです。そういう姿勢は相手に仕事のやりがいを持たせ、職場で積極的に動いてくれることにも繋がっていきます。「毎日やってくれていることを当たり前にせずに毎日相手に感謝する」という姿勢は間違いなく職場を活性化させます。そういう姿勢を職場のスタッフ全員が持つようにしていきたいですね。
夫婦間でも当たり前のことに感謝する
今の世の中は共働きの家庭が多いので、夫婦間でも家事の役割が決まっているところが多いかと思います。ここで問題なのが、相手がする家事を「当たり前のこと」だと思っている状態になっていることです。要はお互いに相手のしていることに感謝していないということです。これは虚しいですよね。やっていることには何一つ感謝の意を伝えないのにやっていないときだけ「何でやっていないの?」と相手を責めるわけですから。だからといって「相手がこちらに感謝しないのだからこちらも相手に感謝したくない」という気持ちを持っていると、この状態がずっと続きます。これは気づいたほうがやっていくのがベストです。相手が感謝の意を言わなくても、あなたが「いつも~してくれてありがとう」と言ったらどうでしょうか?こういう感謝の意は言われたほうは嬉しくなるものです。すると相手も言ってくれるようになるのではないでしょうか?確かに今までの経緯もあるのですぐにそうなるとは限りませんが、それを続けることで相手も態度が変わってくるはずです。まさに「ありがとう」という言葉は魔法の言葉になります。たとえすぐに効果が出なくても言い続けることでその効果を発揮するものですよ。
以上になります。今回は自分が指示したことを相手がやっていなかったときに、どのように接すれば相手のやっていることに注目して感謝の意を伝えられるかについて述べていきました。
前述したように相手が指示したことをやっていないときに使う「何で?」「なぜ?」は相手を責める言葉になっており、いきなりこういう聞き方をするのは得策ではありません。まずは自分の指示がきちんと相手に伝わっていたのかをきちんと確認することが大事になります。そして自分の指示した以外の業務がきちんとできているなら、それに感謝の意を伝えるのです。そうやって相手がしてくれたことを当たり前とせず、毎日感謝するという姿勢を持つことがリーダーには求められています。あなたがそういうリーダーになれば、職場は間違いなく活性化するはずです。今回述べた内容をぜひ実践して、ぜひ相手の遣ってくれていることに注目し、あなたの職場がいつも感謝の意で満たされる空間を作ってください。ではまた次回お会いしましょう!!